最新鋭の手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)について
横浜市立大学附属病院では
直腸癌手術に対するロボット支援下手術が
神奈川県内で最も早く保険適応となりました。
当院消化器外科(消化器・腫瘍外科学)では、2015年10月から直腸癌に対するロボット手術を導入しています。2018年の保険収載以降はロボット手術のプロクターを中心にロボット術者を育成し,当院は県下でもトップクラスの症例数と実績があります。
当院にはda Vinci Xi surgical systemが2台あり,ロボット手術枠を調整できる体制となっています。鏡視下手術のうち,2018年から直腸癌において,2022年からは結腸癌においてロボット手術が保険収載されたことを受け直腸癌だけではなく, 結腸癌に対してもロボット手術で行う症例が増えています。
鏡視下手術(腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術)では開腹手術と比較して、傷が小さく、痛みが少ない、手術後の回復が早いなどの特徴があります。
ダ・ヴィンチはアメリカで開発された最新鋭の内視鏡手術支援ロボットで、腹腔鏡下手術同様に身体への負担が少ない、患者さんにやさしい低侵襲手術を実現します。
ロボット手術は直腸癌、結腸癌、膵癌、胃癌に対して施行しており、精緻で安全な手術に関してメリットを最大限に発揮します。
以下では主に直腸癌に対するロボット手術について解説します。
ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)のメリット
3D画像:
従来の腹腔鏡下手術は2次元の画像が基本でしたが、ダ・ヴィンチ手術では3次元画像による腹腔鏡下手術であり、奥行きのある、より立体的な高画質画像で手術を行うため、より正確かつ安全に手術を行うことができます。
特に直腸においては周囲には排尿機能や性機能を司る自律神経や血管が取り囲んでおります。
これらの神経や血管を可能な限り温存することが術後の機能障害を残さないために重要です。
ダ・ヴィンチ手術では良好な視野によって繊細な手術が可能であり、このような神経温存手術にもメリットがあると考えられています。
ダ・ヴィンチカメラの先端には右眼、左眼が付いており、術者は3次元の視野を得ながら手術を行うことができます。
直腸は、排尿や性機能を司る神経に囲まれています。
ダ・ヴィンチ手術ではこれらの神経を可能な限り温存し、からだに優しい手術を実現します。
関節機能が付いた鉗子:
従来の腹腔鏡下手術では長い鉗子を用いた手術であり、直線的な動きしかできませんでしたが、ダ・ヴィンチ手術では多関節機能をもった鉗子によって多彩な動き(関節の360度回転など)が可能であり、従来の腹腔鏡では困難であった手術操作が可能です。
ダ・ヴィンチの鉗子には多数の関節が付いており、多彩な動きが可能です。
手振れ防止機能:
ダ・ヴィンチ特有の手振れ防止機能により、スムースかつより微細な手術操作によって出血の少ない手術が可能になります。
術者の手による大きな振幅は、体の中では小さな振幅として再現されるため、より精密な手術が可能となります。
当院にはda Vinci Xi surgical systemが2台あり,ロボット手術枠を調整できる体制となっています。
当院で導入している「ダ・ヴィンチ(Xi)システム」について
1.サージョンコンソール
医師がペイシェントカートの鉗子を操作する機械です。
拡大された高解像度3次元立体画像を見ながら、両手で「ダ・ヴィンチ(Xi)」を操作します。
画像が3次元化されたことにより、従来の腹腔鏡下手術と違って奥行きを読み取って鉗子を動かすことができるようになり、より正確かつ安全に手術を行うことが可能になりました。
2.ペイシェントカート
医師の手の動きを正確かつ繊細に再現して、手術を行うのがペイシェントカートです。
ペイシェントカートの鉗子には人間のように関節があり、腹腔鏡下手術では不可能だった「手」のような動きを再現できます。
ダ・ヴィンチは手術を支援するロボットであり、手術操作は医師が行い、オートメーションでロボットが行うわけではありません。
手術費用について
2018年4月から保険収載され、県下でもトップクラスの症例数と実績があります。
費用は通常の腹腔鏡下手術と同様となります。
実際のロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)の執刀は、ロボット手術術者認定証を有し、当院で定めた術者基準を満たした者が行います。
担当医ご紹介
消化器外科のダ・ヴィンチ手術は、主に以下の6名で担当をしております。
詳細は各担当医までお尋ねください。
・消化器外科
准教授 小坂隆司(上部消化管)、本間祐樹(肝胆膵)
講師 小澤 真由美(下部消化管)
助教 中川 和也(下部消化管)、三宅謙太郎(肝胆膵)
指導医 大矢浩貴(下部消化管)