治療実績・研究実績

胆 道 癌

胆道悪性疾患
 胆道悪性疾患の本年度の切除手術症例数は福浦、センター病院あわせて胆嚢癌6例、中下部胆管癌14例(肝門周囲癌と重複5例)、肝門周囲癌18例(広義の肝門部胆管癌)、Vater乳頭部癌4例、末梢型肝内胆管癌1例と合計38例でした。横浜市内・神奈川県下から多数の貴重な症例をご紹介していただいているため胆道癌切除数は年々増加しております。いずれも他院では様々な理由から治療が困難であると診断された症例であり、術前治療から手術、術後補助化学療法に至るまで難しい問題をいくつも解決していかなければなりません。
 肝門部周囲癌は本年度18例の切除症例を経験し1992年から広義の肝門部胆管癌は185例となりました。切除症例全体の5年生存率は39.5%、MSTは39.3ヶ月(非切除集学的治療症例はMSTが12.4ヶ月)でした。肝門部胆管癌の手術は高難度手術であり合併症発生率は51.3%、在院死亡率も4.8%でした。
 胆嚢癌は本年度6例の切除症例を経験し1992年から124切除症例になりました。切除症例全体の5年生存率は58.6%、MSTは102.2ヶ月(非切除症例はMSTが7.2ヶ月)でした。
 中下部胆管癌は本年度14例の切除症例を経験し1992年から132切除症例になりました。切除症例全体の5年生存率は38.7%、MSTは42.6ヶ月でした。
 胆道癌に対する手術はいずれも高難易度手術であり、合併症発生率も他疾患に比べて多いことが問題です。教室では2008年から3D-CTによる術前切除シミュレーションを行ってきましたが、現在ではこの3D-CT画像をtablet型端末を用いて術野に持ち込むことで切除の際のNavigationとし、切除時間の短縮、切除中の出血量低減などに役立っています。今後さらに発展させて肝切除術におけるNavigation surgeryの実現に貢献したいと考えております。
 2008年4月から行っている切除可能胆道癌(borderline resectable)に対する術前化学療法症例も87例になり、このうち61例(71.0%)に切除術を行っています。現在は観察期間中ですが3年生存率66.1%と効果が期待できる経過となっています。また、初診時非切除と診断された胆道癌に対しても半年間の化学療法を行い、病勢が進行しなければ積極的に切除を行っています。これまでに52例の非切除胆道癌に対して化学療法を施行し、8例に切除術を行い(切除率:17%)、いずれも肝転移症例や三肝静脈+IVCに浸潤を認める高度進行胆道癌でした。技術的にも困難な手術を施行しなければなりませんが、3年生存率は62.5%であり、非切除症例よりは明らかに長期予後が期待できるため切除の目を潰さないよう切除の可能性を常に考慮することが重要だと考えています。
 胆道癌に対する最も効果的な治療法が外科的切除であることは言うまでもありませんが、術前化学療法、放射線療法、術後補助化学療法、胆道ドレナージ術、胆管炎のマネージメントなど多岐にわたる手技と知識が必要です。今後も手術手技、知識の向上、研鑽、教育に邁進してまいります。

松山隆生

 

 

 

Tablet 端末を用いて術中に肝静脈と切離ラインの位置関係を確認する。

 

肝内胆管癌の下大静脈浸潤症例に対する半年のdown staging chemotherapy後のEx Vivo手術による切除術。下大静脈は人工血管で置換。残存肝も一度体外へ取り出し、左肝静脈を大伏在静脈で再建したのちに自家移植した。

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