胆道癌

胆道悪性疾患の2019年度の切除手術症例数は肝門部領域胆管癌16例、胆嚢癌13例、遠位胆管癌11例、十二指腸乳頭部癌4例、末梢型肝内胆管癌5例、合計49例でした。
横浜市内・神奈川県下から多数の貴重な症例をご紹介頂き、胆道癌切除数は増加傾向です。(図1)
他院では治療が困難と判断された症例も多く、術前治療から胆道ドレナージなどの管理、手術、術後補助化学療法に至るまで様々な難しい問題を解決しながら治療を行っております。

消化器内科、放射線科と協力しながら診療にあたり、胆道癌全体の5年生存率:46.1%、10年生存率:34.3%、MST:45.3ヶ月となっております。各癌腫別にみますと、肝門部領域胆管癌は1992年からの切除数は281例となり、切除症例全体の5年生存率は37.7%、MSTは36.8ヶ月.胆嚢癌は1992年からの切除数は154例となり、切除症例全体の5年生存率は54.8.%、MSTは72.9ヶ月、遠位胆管癌は1992年からの切除数は159例となり、切除症例全体の5年生存率は37.4%、MSTは42.6ヶ月.十二指腸乳頭部癌は1992年からの切除数は124例となり、切除症例全体の5年生存率は64.0%、MSTは137.7ヶ月となっております。(図2)

胆道癌に対する最も効果的な治療法は外科的切除であるものの,外科的切除だけでは成績改善は難しく,術前術後加療も含めた集学的治療が今後必要になってくると思われます。
当科でも,胆道癌に対する術前化学療法,術後補助療法を導入して成績向上に努めております。また初診時に切除不能と判断した症例に対しても化学療法を導入し切除を得られる症例も増加してきております。
今後も胆道癌治療成績向上を目指し、今後も手術手技の研鑽、知識の向上、臨床研究、教育に貢献していきます。
(文責 肝胆膵グループ 藪下泰宏,松山隆生)

図1

図2